2010年7月25日日曜日

首脳怪談(スプラッター)

これは僕の友人に聞いた話なんですけどね。

あるところにね、奇妙な男がいたんです。いつも道端の茸やら鳥の羽やらを持ち歩いていて、ぶつぶつ何かをつぶやいていたり、急に茸をたべはじめたり…

そんなある日、僕の友人がその男の独り言を聞いてみたんです。するとどうも友人には見えていないものが見えているみたいなんだ。

茸に幻覚作用でもあるのか、男はおかしな話をはじめるんです。
「目の前に洋館がある…」「ペットが恐がって入りたがらない」「しょうがないから一人で入る」
男はどうやらその我々には見えない洋館に入ったらしい。
「幽霊がたくさんいる…」その洋館は幽霊屋敷だったようで、男はなんとか出口を見つけようと走り回ったそうです。
意外にも幽霊は近くを通っても何もしてこないらしく、男は出来るかぎり走って洋館をめぐっていきました。
すると、ある部屋で一際大きな幽霊を見つけた、幽霊は顔を伏せ、こちらに目をあわせない。他の幽霊と同じで、近寄っても動かない。
これも走ってやりすごそう、と思ったが、足場が悪くてどうにも走りにくい。
仕方なくゆっくり行くと、背後からいや~な気配がする。それはそうです、さっきの幽霊がいるのですから。
しかしあまりの気配にふっと振り向くと…
幽霊がこちらをむいているんです。横を通り過ぎたわけだから、後ろをむいていないといけないのに。
男は焦りました。何かがおかしい。早くここを抜けなければ。
しかしそれを足場が巧妙に阻みます。またいや~な気配が。今度はどんどん近づいてきます。
さらに焦る男、何やら笑い声すら聞こえてきて、もう男にもわかります、幽霊です、幽霊が追ってきているんです、あぁ怖いなぁ恐ろしいなぁ、早くここから出たいなぁ。
幽霊はあと少しのところまで来ている。急ぐ男。
すると目の前にEXITの文字が見えた。あぁ、やっと出口だ。
その油断がいけなかった。急に背後の気配が濃くなり、振り向くまもなく男は…

てれっててれってて

気が付いたら男は、マップ画面に戻って、ペットのヨッシーに乗っていたそうです…

2010年7月7日水曜日

友達に宿題をやってもらった


課題③
「猫」「箸」「スパイ」の三つを使って面白いことを起こして下さい。
*回答は横書きで100文字以内で書いてください。

うちで飼っている猫は普段からおとなしい。
しかし僕が食事のときに、
ご飯のおかずとして梅干しを箸でつまむと、
猫は顔のパーツを真ん中に寄せてもだえる。
猫が何か言っているように聞こえる。
「す・・・スパイ。」





2010年7月6日火曜日

うなぎのぼり


うなぎのぼりという言葉があります。物事が上り調子だったりしてぐんぐんのびていく様を表す言葉、だと私は思っています。
しかし、実際にうなぎがのぼるところを見たことはありません。もしくはうなぎが何かをのぼる、という物語を読んだこともなく、映像作品を見たこともありません。
自分が見たものが全て、だとするのは危険な思考ですが、もしかしてあなたもうなぎがのぼる姿を思い浮かべることができないのではないでしょうか。だとしたら、うなぎのぼりという言葉は、私たちにとってどのように担保されて日々使われている言葉なのでしょうか。
こういうとき現代社会というのは便利なもので、世界中の親切な誰かが書いてくれたウィキペディアで、答えを探すことができます。そこには一説として、うなぎの川を遡上する能力の強さから来た言葉、と書いてありました。
おそらく天然うなぎがいっぱいいた時代に生まれた言葉でしょう。私にとってうなぎの話といえば江戸時代しかありません。世の中には馬鹿な人というのがいるもんでして、長屋で一番馬鹿なはっつぁんがうなぎがくいてえと思いましたところ悪友のゴン左右衛門が「はっつぁん、はっつぁあん!」とやってきまして
と、落語の影響でしょうか、とにかくうなぎといえば江戸時代なんです。
うなぎのぼりと聞いてまずぬるぬるのうなぎを捕まえようとしたうなぎ屋の手からうなぎが力強く身体をくねらせ、青い空に向かって逃げようとする、そんなイメージを思い浮かべます。
失敗してまた桶にうなぎを落としたうなぎ屋がカミさんに
「何やってんだいあんたは!」
と怒られたうなぎ屋がなにくそ!とむきになって何度もうなぎを捕まえようとし、ようやく捕まえたころにはすっかり弱ってしまったうなぎ、
「あんたそれじゃあ売り物にならないじゃないかい!うちはうまい鰻を食わせるってんでご近所さんにもひいきにしてもらってるんだよ!」
と叱責されるうなぎ屋、それを見て何かをひらめくゴン左右衛門、最後はここらで一杯肝吸いが怖いと。
夜中にこんな鰻の話をするのは、テレビを見ていたら一〇時くらいにうまい餃子をタレントが食べていて、腹が空いた上に腹が立ったので、この感じを共有したかったのです。皆さんの文句は怖くありません、いや怖いです、ほんとの意味で。落語的には怖くないです、腹いっぱいです。本当に。